坂本龍一
所属
東京科学大学 情報理工学院 数理・計算科学系 准教授
研究概要
高品質コンピューティングの実現を目指し、回路実装・アーキテクチャ・コンパイラ・システムソフトウェア・アルゴリズムを含む多様なシステム階層間の連携・協調による高性能・高信頼・低消費電力計算システムに関する研究を行っています。現在は下記に示す研究におもに取り組んでいます。
研究内容
マイクロサービスの効率化に関する研究
近年Webアプリケーションの開発現場では開発を容易に行い、効率的、かつ、継続的にサービスを展開することが求められています。このような背景のもとマイクロサービスと呼ばれるソフトウェア開発技法が用いられています。マイクロサービス開発では1つのアプリケーションを複数の小さなサービスに分割し、それらのサービスを疎に接続し、多数のサービスの集合体として1つのアプリケーションを開発する開発手法です。これにより1つのチームは1つのサービスの開発に注力することができ、開発の効率化を実現することができます。また、運用中にアクセスが増加し、スケールアウトが必要となった場合においてもサービスごとにスケールアウトすることが可能です。
一方でマイクロサービスは実行効率が悪いという課題が存在します。それぞれのサービスはLinuxのコンテナ仮想化技術を用いており、サービスの数だけコンテナが必要になります。そのため、大量のLinuxプロセス、スレッドが必要になります。また、コンテナ上では様々な言語環境が実行されており、各種言語のインタプリタの実行が必要です。これらの処理は重い処理であるためリクエストごとにオーバヘッドが生じます。また、各種サービスはTCP/IPを用いて通信を行っており、通信のオーバヘッドが問題となります。一般にモノリシックなサービスと比較し遅延時間が問題となります。近年の研究では実行時間の大半がプロセスの生成やTCP/IPの通信、インタプリタの実行などに費やされていることが示されています。
そこで、これらの問題を解決するために新世代デバイスを用いた密結合マイクロサービス実行基盤の実現を目指した研究を行っています。新世代の不揮発メモリやFPGA、様々なアクセラレータ等を用いて、これまで疎に接続されていたマイクロサービスを密に結合し、高い実行効率を有するマイクロサービスの実行基盤を実現する研究を行っています。 マイクロサービスの高いモジュラリティや抽象度を失うことなく新世代デバイスを有用に利用するために、新世代デバイスの抽象化を行うハードウェアアブストラクションレーヤーの実現を目指し、これらのハードウェアアブストラクションレーヤーを有効に活用するリソースマネージャを提案し、デバイスの特性を生かした適材適所の資源管理を実現することを目指した研究を行っています。
次世代HPCシステムに関する研究
Local 5G基地局の省電力化に関する研究
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